東京電力は買いか? 

東京電力の株価は2018年6月21日時点で、510円、PERは3.24倍、PBRは0.49倍。指標だけを見れば割安に見えるが買いだろうか?

 

今の東電が買いなのかそうでないのかの判断は復興費用がどれぐらいかかるのか、そしてそれを返済できるのかということがキモだろう。

 

まず、賠償金ついては支援機構からの交付金を特別利益として計上し、特別損失としてそのまま支払っており、負債には計上されていない。そして交付金に返済義務はない。これをもって東電には返済する負債がないから安泰だと思うかもしれないが、しかし実際には全額ではないにしても各電力会社が負担する一般負担金と東電だけが負担する特別負担金の支払いがある。

 

現段階では復興費用は22兆円と見積もられており、その内10兆円は原子力機構の持ち分の売却益(4兆円)と他大手電力(4兆円)と国(2兆円)で賄うとされており、残り12兆円を20年から30年かけて東電が返済することになっている。

 

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http://www.tepco.co.jp/about/ir/library/presentation/pdf/170131setsu-j.pdf

 

ただしこの推定値は過去に何度も増額している。本当に未知で推定値がわからないのか、世論を気にしてわざと小さめに公表していたのかはわからないが自分にはこの推定値が妥当なのかどうかはわからない。

 

ただ、現状でも5000億以上の収益を出しており、そのうち3000億を賠償・除染費用として積み立てており、2000億以上の経常利益を出している。10年後にはさらに毎年5000億の負担金と4000億近くの経常利益を出すことを目標にしている。

 

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問題は、毎年の負担金が5000億で済むのか、そして毎年9000億の収益を出せる企業に変化できるのかどうかだろう。想定通りに事が進むなら間違いなく買いだと思う。利益が2倍になり、PERも15倍以上になれば10年で10倍もありえる。ただ自分には少し楽観的すぎるようにも思える。

 

負担金の見積もりの妥当性はわからないので収益予想の妥当性を考えてみよう。

 

東電は新しい収益として電力自由化による関東地区以外の全国への販路拡大と、ガス自由化によるガス分野での進出と海外分野での進出を考えているようだ。

 

ただし東日本大震災以降、東電のブランドイメージは落ちているので、実は電力自由化でもっとも顧客が減ったのが東電である。獲得どころか流出している。またガスの収益に関しては東電の現在の売上6兆円、東京ガスの売上は1兆円なので仮に東京ガスの売上を全部取れたとしてもせいぜい2割の売上増加にもならない。実際のところ数%の収益増加がいいところだろう。

 

海外進出に関してはまったく具体的なプランがわからないのでなんとも言えない。これが上手くいくなら電力やガス自由化による国内のシェア争いなど些末な問題になるかもしれない。

 

現在の結論としては、青写真が上手くいくと思うなら迷わず買い。自分はそこまでいくとは思えないけど10年で2倍から3倍になる可能性はあるとは思ってる。だけど復興費用がまだ増大する可能性や将来収益の怪しさから考えるとリスクとリターンが割に合ってないなという印象。