仮想通貨バブルを目の当たりにして

仮想通貨のことを知ったのはちょうど一年前の2017年の1月頃。一通り調べて感じた第一印象は、絶賛している人たちとは対照的にこれの何がすごいのだろうということだった。

 

ブロックチェーンが仮に凄い技術だったとしても、それは全く信用のおけない仮想通貨というものを信用が置けるものにする為のツールでしかなく、それだけでは法定通貨より優れているという理由にはならない。また絶賛している人の多くが指摘している非中央集権的であるということにもどれほどのメリットがあるのかも全く理解できなかった。

 

ブロックチェーンが新しい社会のシステムの一部としてどこかに組み込まれていくことはあるかもしれないが、仮想通貨が世の中を変えていく未来は想像できなかった。

 

早晩仮想通貨は値崩れするだろうと予想していたので仮想通貨には投資をしないことに決めていた。この時点では自分のことを「賢明なる投資家」だと思い込んでいた。

 

だが予想は見事に外れ2017年の仮想通貨は上昇相場だった。自分が本当に「賢明なる投資家」であったのならそれでも落ち着いて上昇局面を眺められていたのだろうが、冷静ではいられなかった。特にビットコインが100万円から200万円を突破した頃はかなり焦った。メンタルはかなり揺さぶられ何度も投機したくなる衝動にかられた。想定を超え続ける相場が続くと、損をしていなくともかなり動揺することを身をもって実感した。もし自分の証券口座で仮想通貨を購入することができていたら買っていただろう。

 

投機自体には否定的ではない、むしろ肯定的だ。元本が少ないときは積極的にハイリスクハイリターンのものに投機していくことは重要だと思ってる。けれどそれはバブルが来る前から用意周到に準備をしていた時に限る。そして徹底的な順張りで入り、想定と逆に動いたらすぐ損切りする必要がある。準備不足なのに儲け損ないたくないと思い慌てて高値掴みし「靴磨きの少年」になることだけは避けなければならない。

 

結局のところ自分は仮想通貨には手を出してはいないが今回強く感じたことは、あまりのメンタルの未熟さと、損はしていないにも関わらず予想が外れ儲けそこなっているというだけでこんなにもメンタルを揺さぶられるなら、保有している優良銘柄がリーマンショックのような一時的な下落局面でつられて下げている状況になったときに狼狽売りしてしまいかねないということだ。

 

上昇相場にしても下落相場にしても、予想が外れ想定している価値を乖離し続ける相場が続いているときに冷静で居続けるというのはとても難しい。そしてそれはとても大事なことだ。チューリップバブルの頃に最後に買ったのは「チューリップがこんな値段するなんて馬鹿らしいw」と言っていた人達らしい。バブルで損をしないためには「正しい知識」だけでは駄目で、欲をコントロールするメンタルがとても重要。

 

想定を超える相場状況が続いても狼狽せずに落ち着いて相場を見れること、自分の見解を支えているファンダメンタルが変化していないのなら、想定と真逆に相場が進み続けても、自分の見解を信じること。信じ続けれるぐらい丁寧に謙虚に物事を調べること。欲をコントロールできる自制心。こういったことが大事なのだと思う。